かぼちゃのトレイル日和

トレイルランを中心に 走ること 読むことについて綴っていくブログ

【読むトレイルラン】恩田陸 夜のピクニックにトレランを見る 読書感想文

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どうもかぼちゃです

読むトレイルラン

ということで今回紹介するのは

恩田 陸さん 夜のピクニックです。 

 

 この夜のピクニック 略して夜ピクですが 恩田陸さんの有名小説で知らない人は少ないのでは?という名著の一つです。

かぼちゃ初めて読んだのはもうだいぶ前のことなのですが 改めて読み直した時にトレイルランナーとして感性に触れるポイントが多々あったので それについて紹介したいと思います。

恩田陸 夜のピクニックにトレランを見る

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あらすじ

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。

それは全校生徒が夜を徹して80㎞を歩き通すという、北高の伝統行事だった。

甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。

三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために…。

学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。

(新潮文庫あらすじより抜粋)

 

登場人物

西脇融(にしわき とおる)

物語の主人公 北高に通う高校3年生。高校に入学する前に父親を胃がんでなくし 母子家庭となる。膝の怪我が完治しておらず歩行祭に不安を抱えている。

 

甲田貴子(こうだ たかこ)

もう一人の主人公 融とは同じクラス。融と同じく母子家庭で育つ。

歩行祭中にある誓いを胸に秘めている。

  

戸田忍(とだ しのぶ)

融の親友の水泳部。部活は違うが融と共に歩行祭でゴールしたいと思っている。

 

遊佐美和子 (ゆさ みわこ)

貴子の親友 学校のマドンナ的存在。老舗和菓子屋の娘で所謂大和撫子な女性。

  

榊杏奈(さかき あんな)

高校2年生の頃の貴子のクラスメイト。大学入学のために現在はアメリカに住んでいる。歩行祭が好き。

 

梶谷千秋(かじたに ちあき)

貴子 美和子の親友で杏奈とは2年生の時に同じクラス。

 

後藤梨香  (ごとう りか)

貴子と千秋と一緒に歩行祭を歩く。クリィカルな毒舌。早稲田に行って芝居や演出 脚本などを学びたいと思っている。

 

内堀亮子 (うちぼりきょうこ)

美和子のクラスメイト。融に恋愛感情を抱いている。もともと戸田忍と付き合っていた。校内に付き合ったことのある男子はたくさんいるよう…。

 

高見光一郎(たかみ こういちろう)

融と貴子のクラスメイト。昼間はゾンビの様に萎れているが 夜になるとハイテンションになる。

 

昼夜を徹して80㎞もの長距離を高校生が歩く 歩行祭

物語は主人公 融と貴子が通う高校の伝統行事 北高鍛錬歩行祭。

全校生徒が午前8時から翌朝の8時までの24時間 80㎞もの道のりを歩くという一風変わった そしてハードな学校行事が舞台。

 

この歩行祭 前半と後半の二つのパートに分かれており 前半は団体歩行…。

クラスごとに二列縦隊で歩き 仮眠を挟んで後半は自由歩行といい 一斉にスタートしゴールの学校を目指す。このゴールには順位がつくため運動部の大半の生徒は後半の順位争いで上位に着くことに懸けています。

 

2人の主人公 その関係が物語の主軸

 

主人公 西脇融は高校最後の歩行祭を親友 戸田忍とゴールしたいと考えていますが 膝の怪我が完治しておらず 最後の自由歩行で走れるのか不安を抱いています。

 

一方 もう一人の主人公 甲田貴子はクラスメイトの梶谷千秋後藤梨香と共に歩行祭に参加していますが 二人が高校生活最後の行事と楽しみにしている傍ら 貴子はある小さな秘密の賭けを実行することを心に決めています。

 

この二人の主人公 周囲には知られてないある秘密があります。

ある種 険悪な二人の関係性は 特に融側は貴子に対し嫌悪感ともいえる感情を抱いており かたや貴子は二人の微妙な関係を少しでも良いものしたいと考えています。

 

前半 団体歩行

物語は二人が残り少ない高校生活に想いを馳ながら 

ゆったりとしたペースで融サイド 貴子サイドを行き来しつつ 融から見た貴子 貴子からみた融が語られ 徐々に二人を取り巻く関係が明かされていきます。

 

物語が進むにつれ 融サイドと貴子サイドは近づいては離れを繰り返し 2人の距離は徐々に近くなっていきます。

その中は融と貴子は互いに対して抱いている感情について少しずつ理解していきます。

また魅力的な登場人物が次々と現れ 二人の距離が近づくエピソードが展開されていきます。

午前中スタートから始まる歩行祭は昼から夕暮れ そして夜間へと進んで行きます。

 

後半 自由歩行

そして後半 深夜の仮眠を経て始まる自由歩行はそれまでのクラス単位を離れ 各々がパートナーを決めてゴールに向かって一斉にひた走ります。

物語もラストに向かって走り出します。

深夜から日の出 早朝へと向かうパート。

 

融は親友の戸田忍と 貴子は遊佐美和子と 融と貴子のギクシャクした関係はそのままに それぞれが不安や希望を抱きながら高校生活最後の想いを胸にゴールである学校に向かってスタートします。

 

しかしスームズにゴールという分けにはいかず やはりここでも様々なトラブルが二人の足を止め 障壁となって立ちはだかるのです。

 

融と貴子はゴール出来るのか そして二人の物語の行く末は…。

 

 

途中 物語の本筋とは少し外れたエピソードがいくつか展開されますが それらも少しずつ絡みながら  物語は一気に終盤に向かって 文字通り走り抜けていいきます。

 

なぜ読むトレイルランなのか?

この夜のピクニック 

高校生活最後の歩行祭を通じて 高校生たちの秘めた思いを描いた 青春小説で

決してトレイルランナーが出てくるわけでも そもそも「トレイルラン」なんて言葉が出てくるわけでもありません。

 

それでも今回 読むトレイルランとしたのは この作品に出てくる

・80㎞もの長距離を歩く(時に走る)歩行祭というイベント

・随所に描かれる景観の描写 

・共に歩を進める人々との出会いや会話

・痛みや疲労との闘い

・夜間パートのドラマ

・終盤 パートナーと共にゴールを目指す高揚感等々

 

トレイルランのレースと共通するエッセンスが随所に見てとれると感じたからです。

 

昼夜を徹し 終始ただ歩いて走るという単調な展開のはずが その中にはたくさんのエピソードが詰まっており 物語を形作っています。

それはまさに 僕らが体験すトレイルランそのものではないでしょうか?

 

恩田陸 夜のピクニックぜひ読んでみてください。

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