かぼちゃのトレイル日和

トレイルランを中心に 走ること 読むことについて綴っていくブログ

【読むトレイルラン】スコット・ジュレクの集大成 NORTH 北へ

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どうも かぼちゃです。

読むトレイルラン

ウルトラマラソンランナースコット・ジュレクの

NORTH(北へ)アパラチアン・トレイルを踏破して見つけた僕の道

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前作EAT&RUNに続くスコット・ジュレク著書。

彼のウルトラランナーとしての集大成である 壮大な挑戦を記した物語。

 

あらすじ 

アメリカを代表する世界的ウルトラランナー スコット・ジュレク。

彼は40代になり自身のキャリアに限界を感じていた。

そんな彼が自らの集大成として選んだ挑戦。

それはアメリカ東部 アパラチア山脈に沿って南北に縦貫する長距離自然歩道

アパラチアントレイルの最速踏破記録を目指すこと。

それは約3500㎞の超ロングトレイルを一日の休息日も入れず より困難と言われる南から北を目指すコースを取る過酷なものだった。

 

本書は著者スコットジュレクともう一人の著者である妻ジェイルという二人の視点を交互に繰り返しながら46時間と8時間7分という記録を綴った物語。

 

登場人物

スコット・ジュレク 著者でありアメリカのウルトラマラソンランナー

ジェニファー・ジュレク(ジェイル)スコットの妻であり 本書のもう一人の著者

ディーン・ポッター

アーロン・ラルストン(ラルスティ)

アンドリュー・トンプソン(トレイルドーグ)

ウィル・ハーラン

ウォルター・エドワーズ

カール・メルツァー(スピードゴート)

クリス・クレメンス(ターザン)

クリッシー・モール

ジョン・ロドリーグ

ティミー・オニール

ディヴィット・ホートン(ホーティー)

トファー&キム・ゲイロード夫妻

マーク・デコール(ファットボーイ)

ルイス・エスコバー(エルコヨーテ

 

本書で描かれていること

スコットの挑戦を阻む様々な困難

神秘的で荘厳 そして過酷な原生自然

アパラチアントレイル(AT)総距離3500㎞ 日本で言えば北海道~沖縄程の距離の最速踏破記録を目指す。

それは一日平均で約80㎞もの行程を毎日こなすというもの。

もちろん平坦な道でなく激しい起伏に富むトレイルや岩場が続く原生自然の道です。(全体を通して舗装路は5㎞程度だということ)

早朝から夜に及ぶ行程がウルトラランナーのスコットの体力を少しずつ削って行きます。

序盤からトラブル発生 痛みとの闘い

なんとスタートからわずか7日目に早くもトラブル発生。

右足の膝に痛みが出始め それは徐々に無視できないものへ

右膝は炎症を起こしはじめ激しい痛みに変わります。

そして右足をかばいながら旅を続けていくうちに 左足の大腿四頭筋が肉離れを起こし 重度な症状に

曰く「右足は一歩踏み出す度に電流の様な衝撃と歯科医がドリルで膝に穴をあけてる様な痛みと 左腿は筋肉をバターナイフで削がれる様な痛み」。

この両足の痛みが長くスコットを苦しめることになります。

 

ファンとの交流と誹謗中傷

今回の挑戦のGPSログを毎日SNSアップしている為 世界中の彼のファンが彼の挑戦を注視することになります。

そして熱心な彼のファンの人々は 彼と一緒に走りたい。偉大な挑戦の一翼を担いたい。同じ時間を共有したい。とトレイルに押しかけます。

スコットはそんな彼らを無下にすることなく紳士的に対応し 写真撮影やサインに応じたり 一緒に走ったりとします。

しかしそんなファンとの交流は旅のスケジュールを少しずつ遅らせ またスコットと妻ジェイルの心を徐々にすり減らしていきます。

 

もちろんSNSやネットを見るのはファンだけではありません。

心無い誹謗中傷やスコットの挑戦をあざ笑う書き込み。そして彼の挑戦を良しと思わないハイカー達の姿も…。

 

悪天候での行程 暴風雨との闘い

もちろん長い旅路ではいつも 晴天が続くわけではありません。

激しい雨の日も激しい暴風雨に見舞われる日も休むことなくスコットは進みます。

 

睡眠不足と疲労の蓄積 肉体的 精神的消耗

連日のハードワーク 特に終盤は記録達成のスケジュールが徐々に迫ってくる為 睡眠時間を削り(ひどい時は1~2時間)早朝から深夜までの行程が続きます。

彼の容姿は目がくぼみ 頬はこけ 手足はひょろひょろにやせ細り 目は虚ろになり 両手は常に震えいる 別人のような姿に変わり果てていきます。

 

そして極限の疲労と睡眠不足は精神を蝕み 思考を奪い スコットをすり減らしていきます。

(本書にはこの挑戦の模様を切り取った写真が多く掲載されていますが 終盤の変わり果てたスコットの姿は かなりショッキングです)

 

彼を支える仲間や応援してくれる人たちの力

トレイルエンジェルとトレイルマジック

トレイルエンジェルとはハイカーの為に水や食料をクーラーボックスに入れてトレイルに置いたり 食事をふるまったり 自宅を開放したりとし協力してくれるボランティア。

そしてトレイルマジックとはそんなトレイルエンジェルからの予期せぬ様々なサポートやトレイルで起こる偶然の幸運のこと。

長い旅路の中でそんなトレイルエンジェルの存在とトレイルマジックが彼らを助けてくれます。

旧友や世界的なランナー達のサポート

カール・メルツァー クリッシー・モール ホーティー ルイス・エスコバー

名立たるウルトラランナー・トレイルランナーそして多くの友人がジュレク夫妻の危機に駆け付け 時に厳しく 温かく スコットを鼓舞し 昼夜を問わず並走してくれます。そんな仲間達の存在が消耗したスコットを支え後押ししてくれます。

 

 妻ジェイルの存在

そして何よりも この物語のもう一人の主人公であるジェイルの存在。

彼女の存在なくしてこの物語は語れません。

彼女は毎日夫の為 拠点となるバン(キャッスルブラック)を駆って買い出しをし 料理をつくり 寝床を準備し ファンらの相手をし 時に一人で合流地点で何時間も夫の到着を待つ。

そんな過酷なサポートを続けながらスコットに寄り添い うちひしがれるスコットを支え 共に終点を目指します。

 

まとめ

超ロングトレイルの記録樹立の為 過酷なスケジュールを強いる日々。

様々なトラブルが襲い 物語が続くにつれ スコットの消耗が潰さに読みとれます。

その度「もうダメだ」と何度も思わされました。

でも彼は何度も立ち上がり 挑戦の旅を続けます。

それは彼一人の力ではなく 彼を支える多くの人の力であると感じることが出来ます。

とりわけ この挑戦を最初から最後まで支える妻ジェイルの存在。

本書はスコットとジェイルの視点を交互に行き来し物語が進むのですが それが後半 につれ 徐々に意味を持ってきます。

終盤には彼女の愛や思いやりの深さ そして夫婦の絆の深さに涙が込み上げてきました。

 

壮大なアパラチアントレイルを舞台とした スコット・ジュレクの挑戦。

そして彼を取り巻く仲間 そして妻との絆の物語。

ぜひ 読んでみてください。

 

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