かぼちゃのトレイル日和

トレイルランを中心に 走ること 読むことについて綴っていくブログ

【読書感想文】言葉の力は世界を変えることが出来るのか? 原田マハ 本日はお日柄もよく

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以前ダウンタウン松本人志千原ジュニアについて話ていたことを思い出しました。

 

常々 俺は後輩芸人に 旅行に行ったらなんか一つはオモロい話みつけてこいよ!て言うてるんです。

これがなかなか言うてくる芸人て少ないんですけど その点千原ジュニアは俺ら芸人みんなで行った旅行先であったしょうもない ちょっとした出来事もしっかり覚えてて それをめっちゃ面白いことだった様に話すんですよ。

そんなんがいつも面白いんですけど。それ聞いた後輩芸人は え?そんなことありましたっけ?て覚えてないんですよ…ジュニアはその辺が凄いんですよね

 

ちょっとうろ覚えなんですけど 概ねそんな内容だったと思います。

まっちゃんはジュニアの面白いことに対するアンテナの張り方を褒めてた印象なんですが…

 

その時思ったのが 同じ時間 同じ出来事を共有しててもそれをどう伝えるか?で

「なんだ そんな話」で終わることもあれば 「なにその話! スゴイ面白っ」て別な感想とか感情を引き出せることが出来るんだ。

見方を変えたり言い方を変えたり角度変えるとまったく違う価値を引き出せるんだってはっとさせられたんですが

 

 

この原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」も正にそんな はっとする体験が冒頭から散りばめられてて 一気に引き込まれてしましました。

大好きな1冊になりましたのでご紹介します。

 

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徳間文庫

 

 

あらすじ 伝説のスピーチライターとの出会い

主人公は二宮こと葉

ちょっとそそっかしいけど 真っ直ぐな会社員女性。

冒頭幼馴染でずっと想いを寄せてた今川厚志の結婚披露宴。

その式の最中こと葉は厚志の会社の取引先社長の猛烈に眠たい祝辞を聴きながら大失態を犯してしまします。

 

いたたまれなさから会場から飛び出し そこで一人の女性と出会います。

その彼女こそ伝説のスピーチライター久遠久美なのでした。

 

次に始まる彼女のスピーチに一瞬で魅了されてしまったこと葉は スピーチの力 言葉の持つ力について激しく感銘を受け 久美の下を訪ね 弟子入りすることに…

 

初めてのスピーチとライバルとの出会い

会社の同僚で親友の千華の結婚披露宴。

スピーチを任されたこと葉は困惑しながらも久美の指導の下で初めて自分のスピーチを作り上げ披露します。

 

そこで現れたのはやり手のコピーライター和田日間足(わだかまたり通称ワダカマ)。

 

彼の操る言葉もまた人を惹きつける力を持ったものでした。

 

事あるごとにこと葉の前に現れるワダカマに徐々に対抗心が芽生えます。

 

 

スピーチライターとしての決意

そんな折スピーチライター久遠久美と野党代表小山田党首が組んで挑んだ国会議員党首討論を口火に世は政権交代の風潮に。

期せず幼馴染である青年 今川厚志が議員立候補することになります。

こと葉はその選挙演説のスピーチを任されることになり 厚志と共に熾烈な選挙争いに身を投じることとなります。

 

そこに対するは政界の重鎮黒川 そしてその選挙活動をサポートするのは天才コピーライターワダカマ。

分不相応な大役と戸惑いながらも幼馴染を自分のスピーチで勝たせてあげたい。スピーチの力で 言葉の力で世の中を変えたい。そして宿敵ワダカマには絶対に負けたくない。

そんな想いを胸に選挙戦をひたすら駆け抜けていくこと葉と厚志。

 

終盤

 

選挙戦もいよいよ大詰め 一世一代の選挙演説が迫る ある日

妊娠している厚志の妻 恵里の身体に異変が…

 

物語は大きなうねりを見せてラストに進んでいきます。

 

そしてラストはしっかり言葉の力で絞めてられます。

 

 

感想 

とにかく登場人物がみんな魅力的で

特に主人公こと葉がちょこちょこよく動いて物語全体の雰囲気を明るくしてくれます。

途中 政治や選挙についての堅苦しい用語が続きますが 物語がそれに引っ張られずに読み進めるのはこと葉のおかげなのかな。

幼なじみの厚志への淡い片想いからの心の変化も清々しいし。

厚志はというと 絵に描いた様な誠実でまっすぐな好青年。後半の彼の決意には目頭が熱くなりました。

ミステリアスなスピーチの師匠久遠久美はひたすらカッコ良く そして時に母の様に優しく…

ライバルワダカマは決して悪 じゃなくて微妙な距離感持ってこと葉の前に現れる。

この距離感いい塩梅で最後まで物語を引っ張ってくれるんです。

 

 

 

時に一人の人間の言葉が世界を動かしたり影響を与えたりするって言うのが 作中何度か語られます。

物語ではアメリカの元大統領オバマ氏の選挙でのスピーチのこと等が取り上げあられていますが かぼちゃが記憶にあるのは環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの国連でのスピーチでした。

当時 確か16歳の少女が鬼気迫る表情で訴える姿に世界中が注目していたのを覚えています。

小さな少女の言葉に世界がざわついてました。

あぁあれもスピーチの力だったんだな。

 

先日ちょうど大阪都構想住民投票が終わって大阪市廃止案が否決されましたね。

大きな話題となったニュースです。

 

そして遠い海の向こうでは明日 アメリカ大統領選が行われます。世界の未来を

左右するかもしれない大きな選挙

 

二つの選挙の 熾烈な争いの裏では 言葉の力で世界を変えれると信じた こと葉や久美の様なスピーチライター達の奮闘のドラマがあったのかも…。

 

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