かぼちゃのトレイル日和

トレイルランを中心に 走ること 読むことについて綴っていくブログ

【読むトレイルラン】鏑木毅のマインドセットが良かった 読書感想文 

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トレイルランナー鏑木毅選手のプロデュースするトレイルランレースにはいくつか参加したことあります。

 

魅力的なコースレイアウトだったり コースロストしようがないくらい徹底したマーキングだったり しっかりしたエイドの内容と数だったり スタッフの気配りだったり…etc。

どこまで関わるのかわかりませんが鏑木選手のどのレースも概ね質の高いイベントになっているという印象です。

 

どうもかぼちゃです。

読むトレイルランと言うことでかぼちゃが読んだトレラン関係の書籍を紹介。

 

 

昨年2019年に刊行された本書

【50歳ゼロからの挑戦 MINDSET (マインドセット)】 

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このマインドセットについて今日は書いていきたいと思います。

 

本書との出会い

本書を知ったのは著者プロデュースのあるレース会場で販売していたのがきっかけでした。

 

刊行当時はNEVERプロジェクトと題して著者が50歳にしてUTMBを完走。その動画がYoutubeにアップされてたりしてかぼちゃ所属の決して若くないアラフォーランチーム内で大いに感化されて共有してたのですが

その時はなぜだか触手が伸びなかったのです(本人とはたくさん話すことができてウキウキでしたが(笑))。

それでもある日 猛烈に読みたくなって結局 ネットで購入しました。

会場で買ってたらサインまで書いてくれてたかもしれないなぁ…。とか ちょっと損した気分でした。

 

そんな経緯がありつつ内容なのですが

 

内容について…正直に言います。

 

はっきり言ってあまり期待はしていませんでした。

 

こんなこと言うと失礼なんですが…。

なんせ「UTMBで世界3位なりました。て言いすぎじゃない?」て思ってたくらいで…本人の紹介だったりなんだかんだ話の中で都度都度世界3位世界3位て繰り返し出てくる表現が気になっていたいうか…。

決して悪口を言うつもりはないんです。

 

で読み終った感想は 一言で言うと 凄く良かった!です。

 

本書でもUTMB世界3位て言葉は何度も使われてて 世界3位てのを別の言葉で言い現せれないのかなぁ~とか気になるとこはあったんですが そんなの差し引いて 内容はすごく自分に突き刺さりました。

 

あらすじ

 

ところどころ掻い摘みながら簡単にあらすじを書いていくと

 

冒頭は件のUTMBの話から始まります。

人生最高の日はいつでしたか?と読者に問いかけるところから始まります。

もちろん著者にとってはこの2009年の世界最高峰の100milレースの日がそうだと語られるんですが その直後にショッキングな見出しが…。

 

死の宣告「もう、元のようには走れない」

これの一文にはドキッとしました。

 

2009年UTMBのレース後 左アキレス腱が激痛と共に異常に腫れ上がり痛み止めがないととても走れない状態に…。

医者からも明確な診断は出されず安静を勧められますが プロトレイルランナーとしてスポンサーとの兼ね合いやセミナー等で収入を得るために走らなければならないという焦りが…。

結局 痛みを誤魔化し様子を見ながらも走る事を続けることに。

後に医師から腫れは炎症等ではなく長年の酷使と世界のトップ争いのレースの中で蓄えられた膨大な疲労が原因で変形してしまい自然治癒ではもとには戻らないと告げられます。

 

そこからは案の定 徐々に物語に陰りが見え始めます。

痛みを推してトレーニングを続け挑んだ翌年のUTMBは天候不良で中止に。

その次の年はさらにアキレス腱の痛みは悪化 また周囲の期待が重く圧し掛かり心身ともに不安定だったと言います。

さらに翌年 2012UTMBはもまた悪天候で距離が短縮。

 

この年を最後に著者はUTMBをから離れることを決めます。

 

以降UTMB以外の様々な海外レースに参加。記録を残しつつもトラブルの連続。

あるレースでは心臓のトラブルによるリタイアを経験。

さらに物語は落ち込んでいきます。

まさに暗雲。

 

物語は幼少時代に遡り 少年時代を経て走る喜びを知り 陸上に出会い 挫折

そしてトレイルランニングとの出会い。そしてUTMBへ

そこで得た人生最高の喜びが後に少しずつ心身を追い詰めていく…。 

 

しかし転機があります。家族 小さな娘の存在。

それが本書のタイトルにもなっているマインドセットのきっかけとなります。

 

以降このマインドセットをキーワードに物語は浮き沈みしつつも徐々に光が差し込んでいきます。

様々なレース トラブル 病気等々本当に様々な苦難が それでもたくさんの出会いや繋がりがあり 著者の考えは今までと違うステージに辿りついていきます。

 

そしてたくさんの想い胸に参加を決意する 物語は2019年のUTMBへ

もうこの辺りになると胸が熱く高鳴りながら読み進めてました。

苦しい苦しいレースとなる 2019UTMB

 

そして感動のゴールへ

 

NEVERプロジェクト会見でのライバルからの質問

 

このNEVERプロジェクトのUTMB前の会見で著者と同世代で長年のライバルであるトレイルランナーの横山峰弘氏が

「このUTMBは日本の若い選手もたくさん出ます。我々世代は彼ら若い世代を大舞台で倒さなければならない。それぐらいの勢いで行かなければならないと思うんですが…どうですか?」

と質問されてました。

それに対して著者鏑木毅氏は

「はっきり言って誰も見ていない。そういう趣旨で臨んでいない。他人と競うUTMBはもう終わってる。敵は自分だけと思っている。」

と答えていました。

はじめてこの動画を見た時は むむ~と思ったくらいでしたが

本書を読んだ後だと著者のこの言葉がより深く心に響いてきます。

 

最後に

 

日本ではまだまだマイナースポーツですがトレイルランニングの最高峰UTMBで世界3位(やっと使えた)という日本人選手では未だに破られてないこの輝かしい記録。

本人にとってこの記録は前にも後にも例がない記録故に相当な孤独だったんだろうなと…。

途方もないプレッシャーの中で著者は戦ってきたんだろうと本書を読むと感じるんです。

いつも主催のレースでの前夜祭や後夜祭でお会いする時はそんな雰囲気はまったく感じさせず 爽やかで気さくで物腰柔らかい印象しかなかったレジェンド鏑木毅。

その知られざる苦悩と 内なる強さを垣間見ることの出来る 

 

【50歳ゼロからの挑戦 MINDSET (マインドセット)】

著者 UTMB 世界3位のトレイルランナー鏑木毅

 

ぜひオススメの一冊です。

 

books.rakuten.co.jp

 

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