かぼちゃのトレイル日和

トレイルランを中心に 走ること 読むことについて綴っていくブログ

【読むトレイルラン】困難はマインドで変えろ トレイランナー ヤマケンは笑う !

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どうも かぼちゃです。

今日は「読むトレイルラン」ということで今まで読んだ トレイルランナーが書いた書籍 を紹介しつつ感想等書いていきたいと思います。

 

このブログでもちょこちょこトレイルラン以外にかぼちゃの読書感想文を書いたりしてるのですが 

 

今回はトレイルラン+読書感想文

 

アスリートの書く文章って ハウツーモノだったり 自叙伝であったり いろいろあるんですが  トレイルランナーのそれはどれもある種独特の語り口があって好きなんですよね。

  

ということで

今回紹介するのは


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トレイルランナー ヤマケンは笑う~僕が170㎞の過酷な山道を笑顔で走る理由!です

books.rakuten.co.jp

 

トレイルランナー 山本健一

 

この名前を知ったのは 数年前BS番組 アスリートの魂の放送内でした。

 

現役の高校教師として勤務しながらもトレイルランナーとして100mileという長大な距離のトレイルレース

しかも国内だけでなく海外のレースで優勝 準優勝と常に上位入賞を果たしているアスリート。

それが山本健一選手(通称ヤマケン)です。

 

このヤマケンのインパクトは鮮烈で この放送をきっかけにかぼちゃはロードランニングからトレイルランにどっぷりハマる様になりました。

 

そんなトレイルランナーと高校教師の二足の草鞋(現在は教職を辞されてプロに転向された)で世界と戦うヤマケンの著書である本書は 著者ヤマケンが走り始めたきっかけからアスリートの魂でも放送されたレース グラン・レイド・レユニオンまでを記した内容になっています。

 

その中ではなぜ彼が海外の強豪犇めく100mileという過酷なトレイルレースを走りぬき何度も好成績を収めることができるのか?

長大なレースを制するアスリートがたどり着いたマインド メンタリティについて読み取ることが出来ます。

 

また要所要所で著者の長年の友人や元生徒 海外レースで共に戦うスタッフや彼を日々支える妻も文章を書き添えており 著者のまっすぐな性格や爽やかで周囲の人々を魅了する人柄を垣間見ることができます。

 

 

 

以下ざっくりと内容を記していきたいと思います。

 

冒頭は著者ヤマケンが山と出会い 走るきっかけになった出来事から始まります。

 

きっかけは単純な理由。でもそれが始まりだった

 

きっかけは中学生の時 父親の「お前が高校2年生の時 山梨でインターハイがあるぞ」という言葉。

その一言がきっかけとなり 地元山梨で日本一なると思い立ちます。

競技はなんでもいい。日本一になれるなら。

競技人口が多いのは競争が激しいから マイナースポーツがいい。

そんな理由で山梨の山岳部の強豪 韮崎高校に入学します。

山岳部の練習は想像以上に過酷。

厳しい練習の中で山と出会い 仲間と出会い 目標に向かって苦楽を共にしながら学んだ事 山での人と人との結びつきの強さについて語られいます。

 

興味深いのは 当初の目標であるインターハイ優勝 つまり日本一になること。

それを達成した描写が山岳部での日々の内容に比べ驚くほどあっさりと語られます。

後々この描写が本書で語られる著者のマインドの一端なのかと思います。

 

初めての挫折 そしてトレイルランニングとの出会い

 

次に著者はモーグルというスキー競技にのめり込み オリンピックに出場することを目標とします。

しかし続けるうちに競技中 自分の恐怖心をぬぐい切れなず成績が伸びないことやナショナルチームに選ばれた大学の先輩のメンタルリティやパフォーマンスを目の当たりにし 自身の限界を感じ挫折してしまいます。

 

モーグル競技をあきらめ臨時教職員として働いていた2004年 転機が訪れます。

日本のトレイルランニングレース 

長谷川恒男CUP通称ハセツネへの誘いです。

 

著者はこの日本を代表すトレイルレースをきっかけにトレイルランにのめり込んでいきます。

 レースを通して出会ったライバル。十分な準備をして臨んだ2度目の2005年ハセツネ。

しかし著者は苦渋を飲むことになります。

大会のレベルが上がった為 ゴールタイムは短縮できたが順位は変わらず 前の年は競い合っていたライバルにも差をつけられてしまいます。

 

雪辱を果たすべく2006年ハセツネに向けてさらに強度の高いトレーニングに取り組みます。

いかにトレーニングの強度を高くするか?それが当時のテーマだった。と本書にも記されています。

 

二度目の挫折 そして新たな始まり

しかしそんなトレーニングが祟り 手術が必要なほどの大きな怪我を膝に負ってしまいます。前十字靭帯損傷。

手術と走れない日々が彼の心に影を落としていきます。

 

走れない日々が続く中 ある人物からかけられた「怪我を受け入れること 今の自分の状況を受け入れる」という言葉を掛けられた時 彼の心理に変化が起こります。

 

順位や競い合って勝利することへの欲求が徐々に薄れ 走れること 身体を動かせることの幸せ 純粋に走れることを楽しむという考えにシフトしていったと記されています。

 

すると身体にも変化が起こりました。

競い合うことをやめたことで今まで身体に入っていた余計なストレスや力が抜け パフォーマンスが上がったというのです。

マインドが変わった事でパフォーマンスが上がった。

潜在能力を引き出すのをブロックしているのはこの考え方や心によるところが大きい

著者はこれを心身相関と記しています。

 

 

また日々のトレーニングへの向き合い方にも変化が起こりました。

それまで強度ばかりを求めていたトレーニングから強度調整し疲労をコントロールし

タイムに拘らず自分の身体の感覚に向き合ったトレーニングにシフトする。

 

勝つこと競い合う事への所謂欲求を捨て楽しむというマインドで出場するトレイルレース。

見る間に成績は(本人の意図せず)上がっていき

ついには2007年のハセツネで優勝していまいます。

(しかしここでも ハセツネ優勝という輝かしい栄光の描写はあまりに素っ気なく語られています。)

 

日本一から世界の100mileレースへ

 

ハセツネ優勝をきっかけに著者はステージを国内から国内外の100mileレースにシフトします。

ヨーロッパ最高峰 UTMB

日本初の100mileレース UTMF

グランレイド・デ・ピレネー

アンドラ・ウルトラトレイル

そして2014年 グランレイド・レユニオン

 

順位やタイムはあくまで副産物 おまけであってメインは

自身が走れる状況を作ってくれる人々(家族 チームメイト 職場 大会主催者やスタッフ 観客)への感謝と 

走りそのものや仲間と過ごす時間 レースでの様々な出会いを楽しむこと

 

それらの想いを胸に出場した2014年グランレイド・レユニオンで著者は自信が新たなステージに立ったことに気づきます。

 

 内なる野生への探求

順位に縛られずに走る事を楽しむこと

 その向き合う気持ちはそのままにパフォーマンスはどんどん向上していく。

すると もっともっと楽しみたい。そんな想いが生まれます。 

 

自分の限界はどこなんだろう?

もっと自分の力を出し切れたならもっと笑ってゴールできるはず。

それは捨て去ったはずの欲求なのだろうか?

 

ヤマケンは自問します。そして…

 

「涙を流す程 感動しながら 笑うことが出来ればいいな。」

 

昨年 プロトレイルランナーに転向した世界のヤマケンの今後に期待したい。

そんな一冊でした。

 

 

 

 

 

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