【読むトレイルラン】穂高小屋番レスキュー日記
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どうも かぼちゃです。
どんな山であれ山に入るということはいろんなリスクを孕んでします。
山に入るということはどういうことなのか?改めて考えることが出来たオススメ書籍を紹介します。
【読むトレイルラン】穂高小屋番レスキュー日記
・穂高小屋番レスキュー日記
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山と渓谷社
・著者
宮田八郎
学生の頃から穂高を訪れ 1991年 穂高岳山荘スタッフとなり1994~2006年の間 支配人を務める。現場にいる身として遭難救助にも多数出動。小学館コミック「岳-ガク-」の原作中に宮川三郎の名でシリアス&コミカルに登場する。小屋番の傍ら2001年映像制作会社ハチプロダクションを設立。長年にわたり山岳映像を撮り続け 穂高の四季の表情を数多くの作品に残した。2018年4月5日 南伊豆にてシーカヤック中に落命。享年52歳。
―本書より抜粋
・内容
穂高岳山荘で小屋番の傍ら穂高岳で遭難した登山者を救出救助する為に奔走した日々を綴った内容です。
穂高岳の登山者遭難死亡者数は日本でもワースト1とも言われ 年間で10名以上が亡くなっているという危険な山。今の様なヘリでの救助活動が主流になるずっと昔から山での遭難救助の最前線は現場に一番近い山小屋が担っていました。
穂高に魅せられ10代で山荘で働くことになった著者もそうした遭難救助活動の一翼を担うことになります。頼れる仲間と厳しくも経験豊富な先輩たちと共に数々の遭難救助に奔走。その日々の記録を通して 山での遭難救助への想い。山への畏れや敬い。そして山に登る登山者へ 山に登る者の義務や心構えを説きます。
・感想
過酷な遭難現場の記録が生々しい。
実際に多くの現場に携わったからこそ伝わる現場の息遣いの様なものを感じます。
登山者に官も民もない。
社長も会長などの肩書も関係ない。
金持ちも貧乏人もなく。ましてや登山の初心者かベテランかにも関わらず 山は常に誰にも平等。平等であるが故に時として悲惨な事故が起こる。
それはいわば「山の掟」とも言えるもの。
過酷な救助の現場で救えた命 救えなかった命。
自らも何度も危険な現場を経験をし 多くの信頼する仲間や尊敬する先輩を山での事故で失くす。
そんな様々な経験をしているからこそ 著者の文章は人命に対する敬意や美しい山々に対する畏れ敬いに溢れているように思います。
以下本文より
誰も山で死のうなんて思っていません。でもぼくやあなたが山で命を失うことは起こり得ます。(山に登るなら)その「覚悟」は持つべきでしょう。しかしだからといって 穂高へ向かうなら机の中を整理してから行けとか 家族の別れを済ませておけとか 遺言を残しておけとかいうのではありません。なにも死ぬことへの覚悟をしろというのではないのです。必要なのは生きるための「覚悟」です。それはしっかりとした事前の準備であり 注意深い行動であり 山への畏れであり 断固として無事に山から帰るという強い思いなのです。
そこかしこに著者の人柄。豪快さと繊細さ。そして優しさを感じることができました。宮田八郎 穂高小屋番レスキュー日記。オススメの一冊です。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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