かぼちゃのトレイル日和

トレイルランを中心に 走ること 読むことについて綴っていくブログ

【読むトレイルラン】強さや優しさって何だろう?山岳王 望月将悟

スポンサーリンク

どうもかぼちゃです。

 

読むトレイルラン 

今回読んだのは

松田珠子さん

山岳王 望月将悟 です。


f:id:kabocha-8:20210118022914j:image

 

【読むトレイルラン】強さや優しさって何だろう?山岳王 望月将悟

 

著者 松田珠子

静岡県出身。大学卒業後スポーツ関連財団 (株)スポーツコミュニケーションズ勤務を経て 08年からフリーランスに。山と渓谷社が運営するウェブサイト「マウンテンスポーツネットワーク」でTJAR連載などを担当。

 

望月将悟選手

静岡県出身。消防士と山岳救助隊を兼務し2006年北丹沢12時間山岳耐久レース優勝を皮切りに国内のトレイルレースで数々で高成績を打ち立てる。山岳適応能力や何日にもわたる持久力の問われる山岳レースで圧倒的な力を誇る。

特に2年に一度開催されるトランスジャパンアルプスレースでは10年~16年で4連覇。そして18年の挑戦では途中の水場での水の補給する以外 すべての食料を携帯する無補給という自主ルールを設け挑戦。見事完走を果たす。

 

トランスジャパンアルプスレース(TJAR)とは

日本海富山湾をスタート地点とし北アルプス・中央アルプス・南アルプスを越えて太平洋駿河湾まで約415㎞を自分の足だけで8日以内に走りきることを目指す2002年から2年に一度開催される山岳アドベンチャーレース。

書類審査や選考会など厳しい資格要件がある。以下公式ホームページを参照ください。

www.tjar.jp

 

本書内容

究極の山岳レース TJARを4連覇した山男・望月将悟。

消防士で山岳救助隊員 山でめっぽう強く 気はやさしくて謙虚。

誰もが好きになり応援したくなる。そんな望月の秘密を多くのエピソードから解き明かす。 

 

第1~3章 誕生から幼少期を経てトレイルランニングとの出会い。

静岡市小河内地区で三兄弟の次男として生まれた望月奨悟。幼いころから活発で山を駆けまわる日々。怪我が絶えないやんちゃな幼少期だったが幼いころから面倒見が良く正義感が強かった。

高校を卒業し消防士となった望月は上司の勧めで国体の山岳競技を目指すことになる。

そこでは後に国内のトレイルランニングや山岳スポーツで名を連ねる多くの選手達との出会いがあった。

 

第4~8章 初のTJAR そして前人未踏の挑戦。

強い選手の背中を追いかけて国内の様々なトレイルレースに参加する。

10㎞~100㎞越えのロングレースまでオールラウンドに強さを見せた望月が出会ったのは国内で最も過酷なレースTJARを走る選手の姿だった。

日本アルプスを縦断するスケールの大きさに惹かれレース参加を決意する。

2年の入念なトレーニングの末迎えた2010年初のTJAR。

想像以上の過酷さ しかしそれ以上に驚いたのは他のレースとは違う選手同士助け合い 思い合う姿。極限の疲労の中でも周囲を思いやれる参加したライバルたちの強さだった。TJARが後の望月のレーススタイルに大きく影響していく。

 

第9~10章 山岳救助隊としてと AROUND SHIZUOKA ZEROへの挑戦。

望月はトレイルランナーである前に消防士であり山岳救助隊である。山岳救助は天職であり山を駆けるトレイルランと山岳救助は繋がっている。より早く助けるために誰よりも山を知ろうとし駆ける望月。

そうした山を走る日々で思いついたのがAROUND SHIZUOKA ZERO(ASZ)。

故郷静岡市の市境をトレイルで繋げて一周する挑戦。

トラブルを経て 山に道があることのありがたさ 先人築きあげてくれた道や挑戦が今自分たちが山を楽しむことができることに繋がっていることを痛感する。

 

山に入るものとして強くありたい。

望月奨悟のこれからとは…。

 

 

感想

著者による本人や近しい関係者への取材やインタビューで綴られる山岳王の姿。

国内で最も厳しいと言われる山岳レースTJAR。そして海外の超長距離レース トルデジアン そして自身の故郷である静岡市の市境を一周するチャレンジAROUND SHIZUOKA ZERO(ASZ)等。

途方もない距離の超ロングレースのエピソードで際立つのは望月選手の強さ そしてやさしさ謙虚さです。

現役の消防士で山岳救助隊を兼任という経歴もあり 各エピソードでは圧倒的な強さタフさをひしひしと感じます。練習は常にストイック。レースでは熾烈な上位争いを繰り広げるもTJARを経てからは順位に固執するのではなく そのレースでの出会いや繋がりを大切にする様子が垣間見えます。 これは初めて挑戦したTJARが大きな影響なのですが 望月選手のその人柄に多くの人が魅了されているのがわかります。

 

まじめで謙虚でやさしくて強い。

そんな絵に描いた様なヒーロー 望月奨悟選手の姿がそこにある。

 

本書では望月選手の両親 家族 恩師 学生時代の友人 ライバル等々たくさんのインタビュー内容が記されています。

もちろん前述した強さや謙虚な人柄はもちろんなのですが 逆に弱さだったり人間味あふれるエピソードだったりもたくさんあり それらも本書の魅力。

 

山岳救助隊として

本書の第9章に望月選手が山岳救助隊になった経緯やその思いについて綴られてちうのですが かぼちゃ個人的にその章にとても引き込まれました。

山岳救助隊は自身の天職であると本人は語っています。

何よりも早く遭難者を救助したい。そんな思いから管轄である南アルプスを誰よりも詳しくなろうと休みの日も何度も山に通う。南アルプスについて他の誰かが知っていて自分が知らないことがあると悔しい。

遭難者の家族が求めても夜間は救助活動を行えない。救助を求めてる本人や家族の要望に応えたいが規律を守らなければいけないジレンマだったりとした内容。

競技者とは違う 山岳救助の仕事に携わる者としての仕事への誠実さや責任感 思いが読み取れる章。望月選手の強さや やさしさの根っこの部分を感じる内容です。

 

強さや やさしさって何だろう?

山岳王 望月奨悟選手。

絵に描いた様なヒーロー像。

そんな望月選手の強さや優しさはどこからくるのだろう?

全てに全力で取り組む姿。真面目でストイック そして誰よりも負けん気が強い。それはレースでの勝ち負けとは違う次元で 誰よりも強くなろう 深く知識をつけようとする姿勢は消防士で山岳救助隊であり命の現場と何度も向き合ってきた本人が決して生半可では足りない現実を経験してきたところから繋がってきているのかなと感じました。

超長距離のレースに参加しつつも消防士として業務をこなすのは並大抵の体力ではない。レース トレーニング 仕事 どれも適当ではなり立たないから 全部が繋がっている。それは山を走ることが働くこと 生きることに繋がっているのだと。

 

インタビューの中で望月選手が山や大会等でよくゴミを拾っているというエピソードがあります。話をしながらでも自然にゴミを拾ってポケットにしまっている。

またとても人への気配りをする人であるとも

そうした望月選手が大切にしている人としてのきれいな心だったり 山への敬意だったり謙虚さだったり そんな気配りや実直さもやさしさや強さに繋がったりしているのだと思います。

 

 

そんな強くて気はやさしくて謙虚な山岳王 望月奨悟の魅力が詰まった本書。

ぜひオススメです。

 

 

スポンサーリンク