かぼちゃのトレイル日和

トレイルランを中心に 走ること 読むことについて綴っていくブログ

低体温症?先日のトレイルランでの出来事について書く

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どうも かぼちゃです。

先日トレイルラン仲間と奈良県は十津川村の山をグループランした時に起こったことを書いておこうと思います。

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顛末

その日は複数人でのトレイルラン。

場所は奈良県十津川村のある山です。

 

標高は約1000m。

その日のスケジュールは登山口から標高1000mのピークを目指し その後反対側登山道を麓まで下り 休憩の後 元来た登山道を登り返してピークまで登り スタート地点まで下山するというコース。

距離にして約20㎞。 獲得標高は約2000m。

 

天気は晴れ 麓は15~18℃くらいの気温で比較的暖かい。ですが山頂付近は麓より10℃近く気温が下がり 尚且つ風が強い日はさらに気温が下がるのでかぼちゃは防寒着や手袋等を準備していました。

 

メンバー1人が遅れ始める

トラブルの始まりは2度目のピークを目指すときに起こります。

 

メンバーの1人のAさんが膝の痛みを訴えはじめました。

前半とは裏腹につらそうな表情で 明らかなペースダウン。

 

ペースを落としながらなんとかAさんはピークに到着します。

その時点でかなり疲労の様子も見てとれました。

 

聞けば最近はあまり身体を動かしておらず 前半でかなり体力を使ってしまったとのこと。

また無理にペースを上げて膝が痛くなってしまった。

途中から胃腸の不快感があり 水分以外は何も口にせず その為か登りも遅れてしまったとのこと。

Aさんは皆が遅れるから先に行って。といいます。

 

でもメンバーはAさんの様子を見て下山はゆっくり皆で下りることにしよう。

ということになりました。

 

 

 麓に下りたときは汗ばむほど暑かったのですが この時の頂上は

風が強く体感でも気温は1桁台なのは容易に想像できました。

 

全員が防寒着をザックから取り出し着用します。

 

しかしAさんは半袖にアームウォーマー。

下は短パンのままで素足をさらしたままです。

 

メンバーの1人がジャケットを忘れたのか?と尋ねます。

 

Aさん「持ってるけど 来たらすぐ暑くなって脱ぐのがめんどくさいから」と

着用を拒否しました。

 

かくしてAさんのペースに合わせてゆっくり下山が始まりました。

 

皆でゆっくり下山開始。その時Aさんが 

頂上から少し下ったところでAさんが付いて来ていないことに気付きます。

てっきり自分たちのすぐ後ろにいるものと思っていたのに。

 

下りてきた道を再び登り返す。

 

少し登るとAさんがいました。

 

トレイルの真ん中で直立不動の状態。

 

遠い目に様子がおかしい。

 

駆け寄り 大丈夫?と問い掛けます。

 

「足 攣る 足 攣る」

 

Aさんが絞るような声でいいます。

 

なんだ足が攣って動けないのか

 

一同 安心して ちょっと座って足の伸ばす?と聞く。

 

しかし Aさん返答ない。

 

なんだか表情は 血の気が引いたような色。

 

ハァ~ハァ~ハァ~と呼吸が荒い。

 

何かオカシイ。

 

大丈夫!?

 

強めの声を掛けるも ハァ~ハァ~ 返答ない。

 

???

 

すると小さな声で…

 

「寒い 寒い」

Aさんの身体がガタガタ震えだす。

 

表情は更に真っ青に。

 

これは危ないのでは

 

その時 Aさんとかぼちゃらが立ち尽くしていたトレイルは山の斜面を吹き付ける風がもろに当たるところで ウェアを羽織っているかぼちゃも強い冷気を感じる場所でした。

 

とにかく何か着せてここを離れないと

 

ジャケットは!?

 

かぼちゃが聞くもAさんは返答ない。

 

急いでAさんのザックの中からジャケットを取り出し 無理やり着せます。

 

早く下りよう!!

 

相変わらずAさんは返答ありません。

 

かぼちゃとメンバーでAさんの両脇を抱え上げて下山することに。

 

Aさんを抱えて寒さが凌げるポイントまで 

ここで慌ててAさんと共に転倒したら大惨事。

気持ちは焦りつつも 慎重にもう一人のメンバーと呼吸を合わせて下山します。

 

しばらく下りると 風除けがあり避難出来る場所に辿りつきます。

 

そこでAさんを下ろし ザックからジェルを取り出し 食べさせます。

 

この時 Aさんに表情の色が戻ってきて 言葉掛けにも返答が返ってきました。

 

良かった。

 

Aさんが話してくれたこと

聞けばが足の痛みが強くてそれを庇いながら歩いていると両足が攣るような感覚が始まったとのこと。そして足が攣った辺りから 自分でもなぜかわからないくらい呼吸がしんどくなり意識が遠のいたということ。

 

両脇を抱えられているとき 少しずつ抱えられている脇と抱えてくれているメンバーの身体が触れているところが 体温で温かさを感じ出して すると段々と意識がはっきりしてきたとのことでした。

 

足の痙攣止めを飲んで ジェルを摂ると Aさんはゆっくりと歩くことができました。

 

少し気温も上がってきており 再びゆっくりと下山開始。

 

登山口に戻ってきたときにはAさんは足の痛みはあるものの すっかり回復していました。

無事メンバーは帰路につくことができました。

 

Aさんのあの様子は何だったのだろう?思いあたるところもあり

かぼちゃなりに調べてみました。

 

低体温症とは

人間が生命を維持するための脳や心臓 肺などの器官(深部体温)が35℃以下に下がった状態。

低体温症には3つの分類がある

①急性低体温症

冷水などに浸かって6時間以内に発症

②亜急性低体温症

寒冷にさらされて6~24時間以内に発症

③慢性低体温症

病的なもの

 

登山においてはは急性も亜急性も起こり得る。

寒冷に強風が加われば夏山でも体温は下降し加速度的に急性低体温症になるケースもある。

1000m程度の低山でも低体温症が原因で死亡事故もある。

 

低体温症が起こり得る条件

・気温10℃以下

・や雪 汗などで身体が濡れる

・10m/秒の強風下

 

低体温症の症状

35℃

身体が勝手に震える。思考能力の低下。起立困難。

34℃

震えもなくなる。更に体温低下。自力回復出来ない。

33℃

うとうととした眠気。意識朦朧となる。

20℃

心停止。

 

Aさんの中で何が起こっていたのか?

自分は専門家ではないので 診断することやはっきりこれだ!と言い切ることは出来ませんが

Aさんの様子と当日の風や気温の状況から上記の低体温症の初期症状だったのかな?と思いました。

Aさんは前半は割りとしっかりと走れていました。加えて1回目のピークを下った麓は汗ばむ程の陽気でしっかり身体は発汗。

シャツも濡れていたと思います。

そこからAさんは足の痛みのためペースが格段に落ち 運動量が下がって 心拍数も下がり 身体が冷え 体温も下がっていたと思います。

そこに山頂の低い気温と強風。

そして他のメンバーが防寒着を着用するなかAさんは脱ぎ着が面倒くさいから と着ませんでした。

また胃腸の具合が悪いからと ジェルなども口にせず 体温を上げるエネルギーとなるものもあまり摂取していなかったように思います。

これらがAさんの身体の体温を芯から奪っていったのだと思います。

 

35℃台の震え 思考能力低下 起立困難というのも当てはまっていると思うし

深部体温34℃だと自力回復出来ない ということなので 仮にAさん1人で置いて行っていればかなり危険な状況になったのかなと思います。

 

山での低体温症の予防と対策

・雨具、防寒着を着用する
・濡れたものは着替える
・カロリーをこまめに摂る
・冷たい雨風を防ぐ
・意識的に暖かいものを飲む

 

 

最後に

本当に大事に至らなくて良かった。と思いましたが Aさん含めかぼちゃらにも反省点がいくつかあるように思いました。

 

当日の山行スケジュールや強度は Aさんの体力走力に見合っていたのか?

参加するメンバーの体調に注意を向けていたか?

適切な防寒着の準備を確認したか?

等々です。

 

自分達のグループでのトレランのあり方を見直す機会になったかと思います。

 

皆さんのトレランライフの何か一つ参考になれば幸いです。

 

 

 

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